伊藤和也、宮野拓也
今年の通常国会で成立が見送られた出入国管理法改正案について、法務省が来年の通常国会に改めて提出する準備を進めている。14日には自民党に法改正の必要性を説明した。強制退去処分となった外国人の収容長期化の解消が狙いだが、スリランカ国籍の女性が収容施設で亡くなった問題もくすぶり、法案提出には曲折も予想される。
現行法では、強制退去処分が決まっても、難民認定を申請すれば何度でも理由を問わず一律に送還が停止される。送還まで原則施設に収容され、その期間に上限はないため、収容の長期化が問題になっている。
今年の通常国会に提出された入管法改正案では、難民認定手続き中の送還停止規定の適用を、新たな相当の理由がなければ2回までに制限する一方、入管当局が選定する「監理人」の監督のもと施設外での生活を可能にする「監理措置」を設けるなどとしていた。しかし、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)の死亡問題で出入国在留管理庁の対応に批判が集まったことなどから成立に至らず、衆院解散で廃案になった。
関係者によると、法務省は自民党のほか今月10日には公明党にも、送還停止規定や仮放免など現行法の課題のほか、死亡問題を受けた再発防止策の進捗(しんちょく)状況を説明し、改正への理解を求めた。改正内容は今後詰める。先の国会中には自民党と立憲民主党の間で修正協議が行われ、逃亡の恐れがなければ監理措置▽収容は上限6カ月とし、その後は監理措置か収容継続か個別に判断――などの内容で合意しかけた経緯があり、こうした点を踏まえることも検討されている。
「法不備で送還できず」仮放免の415人逃亡
法務省が出入国管理法の改正を急ぐのは、強制退去処分となった外国人を法の不備により送還できず、収容の長期化を招いていると考えるからだ。仮放免中の逃亡や犯罪も相次いでおり、治安悪化への懸念も背景にある。
在留期間を超えて不法に国内…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル